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ヤクザとペット サンプル

ヤクザとペット 書き下ろし「AVごっこ」より抜粋

※基本的にヤクザパロはアリスの視点ですが、今回の書き下ろしは珍しく火村英生視点になります。


「アリスガワ? ずいぶんと大層な名前だな」
 ふーん、と書類を眺めても、写真はないのでこいつがどんな奴なのかは現時点では分からない。住所やら借金の金額やら毎月の返済額といった文字や数字が並ぶだけの書類だ。
「返済は律儀にこなしてまして、このままなら問題ないと思ってたんですが」
 そこで俺の顔色を伺うような視線を送ってくる部下に、いいから先を言えと頷いてやる。
「この件、返済は社会人の息子がやってるんですが、借り主がまあ言っちゃあ何ですがろくな親じゃなくて、今朝、別の組から連絡が来まして、向こうさんでまた借金が増えたからウチの借金の証書も寄越せと」
「アァ!?」
 何だとコラ、と凄むと部下はひぃっと声を上げて首をすくめた。
「あの、こちらです!」
 ずいっと差し出されたのはメールを印刷したものらしい。ざっと目を通すと、アリスガワなんちゃらが息子を売り飛ばしてクスリを購入したと書いてあり、息子の身柄を拘束するからそっちの借金もこっちで一緒に取り立ててやるという風な文面が適当にめんどくさい敬語で書いてある。
「借り主のクソ親父ってのはどこだ?」
「病院を脱走したというので、今、探してます」
「この息子ってのも、勝手に担保にされたなら保護が必要だな。早急に探して連れてこい。向こうより先に連れてこいよ?」
「はい!」
 慌ただしく部屋を後にした部下の去った部屋で、ばさりと資料を机の上に投げ、俺は固定電話の受話器を上げてめったに掛けない短縮番号を呼び出して幹部に連絡を取った。
 借金をしているというのに更に金を必要としてるような状況はもう人間を止めているも同然だ。ここいらで手を打たないと、本人すらもう自分では止まれないのだろう。本人の方は別にのたれ死んでも自業自得だが、こんな巨額に膨らんだ負債を全額返す羽目になる連帯保証人の息子が不憫だ。
 コール音三回で出た相手に名乗り、向こうのトップと話をつけると約束を取り付けて、電話を切る。そうして、改めて無茶を突きつけた相手の連絡先にアポイントを取った。
「だいたい、ギャンブルで勝ち続けられると思うほうが間違いだ」
 ああいうものはぼちぼち勝つこともあるが、ほとんどは負けが混む。引き際を知らぬやつがハマると際限がないのだ。生活費まで使い切って、それでもまだ次を夢見て借金を始めてしまったら、もう坂道を転がり落ちるしか無いわけだが。
「挙げ句にクスリとはね」
 ただのクスリであるはずがない。ぶっちゃければ覚せい剤だが、もしかしたら合成ドラッグあたりの安いやつをわざと高値でふっかけられた可能性もある。そういうものを売るチンピラはむしれるだけむしるのがセオリーだから、相手が貧乏だろうが値段を変えないだろう。
「ジジイなんぞ一文にもならんしな」
 ギャンブル狂のヤク中なりかかりとなると、大した使いみちもない。保険金目当てにどうこうするのも面倒だ。良くて新薬の実験体にでも使えとその手の機関に投げるか、海外で稼ぎ直せと工場かどこかに放り込むあたりか。
「クスリの大半は回収しましたので、返済に回します」
「借りた当人は担ぎ込まれた病院から逃げたみたいで、行方を追ってます」
「息子の方は今朝まで東京で仕事だったようで、新幹線で帰還中だそうです。帰宅次第捕まえます」
 次々と上がってくる情報に、ふんと鼻を鳴らして経緯を聞く。
「あと、息子の写真やプロフィールなどはこれです」
 どうぞとうやうやしく数枚の写真とプロフィールの一覧を献上され、黙って目を落とし、軽く首を傾げる。
「生年月日からして、俺と同じ年のはずだな?」
「はい」
「……ふーん」
 若いというべきか。幼いというべきか。隠し撮り写真だからこちらに気がついてないのは当然だが、なんというか柔らかな印象の男だ。カタギの人間なのはすぐ見れば分かる。
「悪くないな」
 年齢より下に見えるというのはアジア系の良さだ。これならもしも万が一、利用価値が低くても調教すれば夜の使いみちも増えそうだ。
「職業は……小説家か」
「推理小説を書いてるそうです」
 へえ? と写真に再度目を落とす。人は見かけによらないというが、この人畜無害そうな外見の男が人殺しの話を書いてるとは。なかなかのギャップだ。
「息子なのに有栖って名前も珍しいな」
「ペンネームかと思いましたが、戸籍がそれでした」
「回文みたいだな」
 名前については親を恨んだかもしれないなと思って見るも、意外と女名前な下の名前がこの顔にはまってる気もした。
 やがて無事に息子を保護し、状況を説明して彼の身柄は結果的に俺が引き取ることになる。最初は調教し終わったらSMクラブや会員制デートクラブにでも売り飛ばすのもアリだなと思っていたのだが、顔を合わせて話をしているうちに俺の気が変わったのだ。



「今日はちょっと遊ぼうか」
「遊ぶって何?」
 先程までわらわらと男たちが居間と寝室に撮影用の照明器具やビデオカメラなどの機材をセッティングしていたので、アリスは不審な顔だ。
「AVごっこ」
「は?」
 何それという顔で眉をひそめるアリスを鼻で笑い飛ばし、俺は片手に持ったハンディビデオカメラの電源を入れて操作を再確認した。
「まあ多少はお前の借金返済を手伝えるかなと」
「えっほんま?」
 自身が抱えた借金が減るのならばと、ぱっとアリスの顔が輝く。彼のろくでもないオヤジの行方は依然として掴めては居ないが、アリスの律儀なところは俺が彼の借金を全て肩代わりしたと知って、ならばと俺に全てを捧げる気でいるところだ。
 先月には著書の見本が来たと言って、俺にサイン本を献本してくるから何だか面映ゆかった。
「つまり、AVみたいに撮影ごっこだ。ハメ撮りとかな。データを売るかどうかは分からないが、うちのデートクラブの店内で余興に提供するくらいのことはするかもな」
 デートクラブとは高級会員制の地下バーにある売春宿だ。いつぞやアリスを脅すネタにした豚オヤジに身体を売るSM店よりはまだマシな方なので、普通の遊びに飽きた金持ちたちのずりネタとしては使えるだろう。
「設定としてはベタにそのままだ。借金でヤクザに拾われてペット生活。固有名詞はなるべく排除したいから俺の名前は呼ぶな」
「ええけど……そのままやんか」
「だからベタだって言っただろ。まあ冒頭のくだりはモノローグにでもするから、まずはストリップから行こうか。最初の頃みたいに恥じらえよ? 大阪弁は変えなくてもいいが、はじめての時を思い出す程度でいれば無駄に変な演技はしなくていい。どうせ素人がセリフを言ったところで棒読みだと萎えるだろ」
「はあ」
 そういうもん? と首を傾げているアリスをちょいちょいと指で呼びつけ、彼が着ている長めニットのトップスをまくりあげる。
「ちょっと胸をまくってろ。乳首のピアスは外しておく」
 垂れ落ちそうな裾を両手で持つアリスの胸に手を伸ばして、調教とお仕置きのために乳首に付けている赤い宝石のピアスは先に外し、失くさぬように保管ケースに戻しておく。今からの撮影のコンセプトは借金のカタで売られたノンケだ。こんなピアスを付けていては男を知らぬような雰囲気が出せやしない。ピアスホールは細いからあんまりアップにしない限りは穴には気が付かないだろう。
「鈴のアンクレットも外すか」
「ん」
 チリンと鈴の音とともに足首につけていたアンクレットも外せば、ぱっと見はごく普通の青年に戻る。首輪以外はもうおかしなところはないよな? ととっくりと上から下まで眺め回して。
「よし。じゃぁ、撮影開始だ」
 彼に向けたレンズの横で指を三本立てれば、カウントダウンを了承したアリスがちょっと不安そうな表情に切り替えた。ゆっくりと指を三本全て折ったところで、俺は口を開く。
「服は全部脱げ。首輪だけ残してろ」
「はい」
 撮影機材をセッティングする間、男たちが室内に踏み込んでいたのでアリスはちゃんとマトモに服を着ている。二人きりで寝室に居る時は首輪以外は全裸というルールを決めているが、こんなに撮影機材が囲まれた状態でのストリップにはやはり緊張するらしい。おずおずとトップスの裾に手を掛けて、のろのろと脱いでいく。ちらりと壁のエアコンを見上げ、設定温度に問題ないことを確認してから、俺は肌を晒していく子をカメラで追う。最後、靴下まで脱いでから、そっと伏せた瞳が上がる。
「脱ぎました」
「いい子だ。――そうだな、お前の呼び名はアリスにしよう」
 彼の本名でもあるが、源氏名やペンネームにも間違えられそうなので、そのままでいくことにした。異論はないという風にアリスも頷く。
「お前の年齢は?」
「さんじゅうよん……」
 言い淀んだのは、この年令でAVなんぞ撮影してると思われるのが嫌なのだろう。まあ普通はもっと若いやつが撮影されるのが多いだろうなと俺も思うが、老け専だっている可能性もあるから気にしなくていい。
「男とセックスしたことは?」
「は? ……な、ないです」
 自分を犯したくせに何を聞いてるんだという顔でこちらを見上げたアリスがカメラに気がついて、慌てて首を振った。うん。それでいい。
「じゃぁ、簡単に説明してくれ。なぜ君がここで全裸になってるのかを」
「借金のカタで、身体で支払えって……ペットになれって」
「そうだな。だから、この首輪だ」
「はい」
「今からなにをされるかは分かるか?」
「なんとなく」
 そう答えたアリスが、二の腕を軽くさすって軽く身をよじる。よく見れば鳥肌が少し出ているだろうか。
「あの、ちょっと先にトイレに行ってええ?」
「ああ、じゃあ、こっちだ」
 ひょいと手招いて、アリスを呼びつけたのは部屋の中央。ふかふかのラグの上に大判のペットシーツだけをばさりと広げる。
「ここにしろ」
「えっ!?」
 ペット生活とはいえ、今までトイレはちゃんと人間らしく個室のトイレに行かせていたものだから、びっくりした顔でアリスがおろおろと俺とカメラとを見比べた。どうやらカメラを止めたいらしいが、そうはいくか。
「ペットが人間用のものを使うと思うか?」


--中略--


「口はこっち」
「んぷ、んむ、っ、ふ、んん」
 もじもじと腰を揺らしながら、れろれろぺろぺろと竿を舐め、足でイタズラしている分身をそそり立たせて腰をヘコヘコと振って股間を俺の足にすりつけているペットはなかなかにいやらしい。ひくつく鈴口からはたらりたらりと先走りがこぼれていく。
「んっ、んぐ、んんむっ、んふーっ」
「ふふ。可愛いやつだな。――ああ、言い忘れてたが、この靴下、結構高いんだ。先走りなんぞで汚したらお仕置きだからな?」
「んんっ!?」
 目を見開き、慌てた顔でアリスは腰を引くが、もう遅い。既に足の裏がじっとりと濡れているのを見逃す俺じゃない。
「汚したな? お尻をぶってやるから、後ろを向け」
「は、い」
 ちゅぽ、と口を外してから、のろのろとアリスは後ろを向き、ペットシーツの上で四つん這いになる。白くて丸い尻がかすかにぷるぷると揺れているのは不安と期待とどちらだろうかと喉の奥で笑って、カメラを持ってない左手を振り上げる。
 パァンと派手な音がして白いお尻が赤くなったが、ちょっと画像的に赤味が足りないかも知れない。
「っひ!?」
「もう一回」
「あぁっ!」
 びくりと背中を震わせたアリスの尻にもう一度パァンと同じ場所を目掛けて打てば、赤い色は一層鮮やかに紅葉を咲かせる。きっと叩いた俺の手と同様、彼の尻もじんじんしているだろうなと満足してカメラに震える尻と背中を写せば、アリスが半泣きの顔でこちらを振り向いた。
「ご、めんなさ……っ」
「ん? ……ああ、イったのか」
 痛みやら羞恥心やら興奮やらが相まってアリスは軽くイったらしい。ペットシーツの上には白濁が少し散っていた。体液とはいえ粘液だからシーツが吸い取りにくいだろうが、それよりも今はこれを撮影するほうが先だろう。
「別に先にイくなとは言ってないが、ぶたれただけで一人でイクとはMの素質があるんじゃないか?」
 シーツに散った白と、まだぴくぴくと震えている彼の分身とをアップで撮影する。ただ黙ってカメラを向けているだけなのに、鈴口に溜まった白い体液が今にもとろりと零れ落ちそうだ。


サンプルはここまでになります。
再録の第一話はエネマグラ、第二話は流血と乳首ピアス注意、第三話は仕込みローター、第四話はオムツにおしっこやら媚薬やら。
書き下ろしもペットシーツにおしっこさせたり、ハメ撮りしたりやりたい放題書いてますので、大丈夫な方は楽しんで下さい。
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