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空の箱庭 サンプル

死神パロディ合同誌書下ろし(R18) オンデマ/A5/68P(表紙含)より少々抜粋


■「空の箱庭」より「相即不離」抜粋

「むかつくー!!! なんやねんアレ!!」
 バシバシと殴りつけたクッションはへにゃりと崩れてソファにへたれかかる。
「ま、まぁまぁ」
「まあまあ、じゃないわい!」
 ぷんすかと不満をそのまま顔に出して振り向けば、私のきつい視線を受けた受付の片桐はぎょろりとした目を瞬かせた。
「何ならクレーム報告上げときますか?」
「上げたところで握り潰されるやんか!」
 だいたい向こうの派閥は高学歴なやつが多くて、こちらの理論をことごとく論破するのだから質が悪い。
「あいつら、純粋種だからって、人に雑用まで押し付けやがって!」
 ケッと柄悪く悪態をついてしまうのを許してほしい。我々死神は死期の近い人間に近づき、寿命を迎えた魂を悪魔に喰われぬうちに引き抜いて閻魔庁へと連れて帰るのが仕事なのだが、その死神も両親が死神で生まれつき死神の純粋種と、人間が死後に修行して死神になった叩き上げと二種類の派閥というか身分差がある。
 だいたい予想はつくと思うが、叩き上げは新人の頃は失敗だらけで、純粋種は生まれつき特殊能力が備わったエリートだ。悔しいことに純粋種は魂を抜き取るのがめちゃくちゃ速い。悪魔に邪魔されることが殆ど無いものだから、エリートと呼ばれている。対して俺たち叩き上げはエリートからすると鈍くさいらしく、見下されたり馬鹿にされたり雑用係にされたりと扱いは散々だ。
「でも、アリスさんは今月もまた二位キープでしょう? そちらの派閥ではトップですよ」
「努力した結果やな!」
「むしろ暴れた結果では……」
「なんやて?」
 いえなんでも、と片桐は首を振った。さっきも言ったと思うが、叩き上げの死神の魂抜き取り速度は遅い。お陰で寄ってくる悪魔を排除して魂を取り戻すことが何度もあるのだが、私は容赦なく邪魔しに来る悪魔を物理的に叩きのめすので不名誉ながら「血まみれアリス」と恐れられている。
「こんなに努力してても、やっぱ今月もあいつが一位なんやな」
 くさくさした気分で私が睨むのは壁のスコアボード。毎月頑張っているのに、一位をずっとキープしているエリート派閥のトップ、火村英生にはどうやっても追いつけない。
「エリート組の中でも勤勉な上に、仕事が早いと評判ですしね」
 とりあえず、次の捕獲リストを送りますと片桐は受付奥の部屋に引っ込んだ。
「けっ」
 エリートなんざくそくらえ、と肩をそびやかした私は、休憩用のソファにドサリと座る。
「火村のやつ、あんなだらしなーい格好で、大した情熱もなさそうやし、へろーっと仕事してるように見えるくせに、あれで毎月成績一位やなんて絶対おかしい」
 黒の衣装を着てるものが多い死神の中では珍しく、白いジャケットにグレーのスラックス。そこまでは別に問題ないが、よれよれのシャツにネクタイを締めるというよりぶら下げて、天然パーマらしい黒髪はいつもぼさぼさだが、顔がイケメンだからか火村はやたらと目立つ。
 係に賄賂でも送っとるんとちゃうんかい、とため息一つ。分かってる。そんな賄賂なんてものを送っても意味がない。なんたって死神が狩ってきた魂の個数をゲートのセンサーで読み取って数えているのは機械なのだから。
「はぁ……次の仕事行こ」
 ちょうどいいタイミングで片桐からの新しい捕獲リストのメールが届いたのを機にソファから立ち上がる。嘆くよりは動くほうがいい。体を動かしていれば嫌なことは忘れられるし、何よりも火村に追いつけるから。
「むしろ、弟子入り……いや、辞めとこ」
 先月、有給を一日だけ取って火村の仕事ぶりを観察してみたのだが、彼は手際が良いのだ。魂を抜くのがかなり素早い。ついでに、ターゲットを死の淵に追いやるのが本当に上手い。見ていると、ターゲットは吸い込まれるように危険な場所に足を踏み出して転落死したり、ふらりと車道に飛び出して轢かれたりするのだ。まるで操り人形のように。
「なんであないに簡単に出来るんや……」
 首を傾げながら見ていると、火村はターゲットをじーっと観察していることが多いように思う。真似して自分も人間観察をしてみたが、大して成果は変わらず。
「俺のやり方とはちゃうから、参考にしてもな」
 愚痴ってないで仕事しよう、と頭を切り替えて、私は狩りに出かけた。




<R部分の一部抜粋>
「それに、こっちもそんなかわいい痴態を見せられて我慢できそうにないんだ」
 ハァ、と荒っぽく息をついて、火村がばさばさと衣服を全部脱ぎ始め、素肌を晒した肉体が綺麗に引き締まっていたものだから、呆然と私は彼を見上げるしかできない。何かスポーツでもやっていたのか無駄な贅肉があまりなさそうだ。
「あ、の……ひ、むら?」
「ちゃんと恋人になろうぜ、アリス。責任は取る」
 責任ってなんぞ?、と思っている間に彼は私の足を抱え上げ、ベッドの横のチェストからなにかチューブ容器みたいなものを取り出し、にゅるるっと指に出したそれをあろうことか私のお尻に塗りつけるではないか!
「ひぇ!?」
「あ、冷たかったか。悪い。ちょっとだけ我慢してくれ」
 そう言いながらつぷんと何かが入ってきた感触にぞわぞわと体が震えて、びゅくっと分身から精液が出たらしい。
「ひぃぃっ!」
「うわ……指入れただけなのに、凄いな」
 腹に散った体液にイヤイヤと首を振るが、まだ痺れていてちゃんと首を振れなかったらしく、火村は嬉しそうにちゅくちゅくと私の体内に入れたものを抜き差しし始める。
「んあ!…っん、や、…ぁっ、は、うっ! も、もぅ…ぬいてぇ!」
「まだ指一本入れただけだぜ」


この先は、本編でお楽しみ下さい。
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