ちまちま本舗

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おいしくたべてね。後編サンプル

原作版書下ろし本(R18) オンデマンド/新書/92P(表紙含)より数点抜粋

■今回もすべてアリス視点です
一、一緒にお風呂

「あ、よう考えたら、これ多かった……」
 しまった。やらかした。脱稿ハイで、安売りの挽き肉を何も考えずに多めに買ってしまった。
余ったら冷凍でもしておけばいいのだが、明日から東京に数日仕事で行くので、出来れば食材を残したくなかったのに。
「合い挽き肉やから……半分をハンバーグにでもするか」
 夕飯は、半端に残っていた野菜類と一緒に挽き肉を炒めて丼にでもする予定だったが、半分をハンバーグのタネにすればいいかな。ついでに今日、我が家に泊まると言ってきた火村の、明日の弁当の材料にでもすれば、挽き肉は全て使い切れるだろうと思いつく。
「我ながらナイスアイディア」
 ふんふんと鼻歌を歌いそうなほどに上機嫌で、私は買ってきたばかりの食材を全て冷蔵庫に仕舞い、水屋から弁当箱を取り出してざっと洗った。ゴムパッキンも外し、水切りの上に伏せて乾燥させておき、まだ彼がここへ来るには早いだろう、と給湯器のスイッチを入れてシャワーを浴びに行く。
「ふーっ」
 ざあざあと肌に降り注ぐ、少し温めの湯が気持ちいい。締切に追われて二日ほど風呂に入ってなかったので、二日分の汚れを洗い流さねば。
手短にリンスインシャンプーで頭を洗い、ボディソープを泡立てて身体を洗い立てれば、身体中がいい香りに包まれる。
「これで、火村が急に来ても慌てんでええわ」
 長いことただの腐れ縁で親友だった火村英生が、私に不意に告白してきたのはついニ週間前のこと。当然ながらめちゃくちゃ驚いたのだが、もうひとつ、私がどうやら密かに彼を想っていたらしい事実を、当人から突きつけられたのはかなりの衝撃だった。私自身は全くの無自覚だったから、今でもまだ火村の口車に乗せられたような気がしないでもないのだ。
 火村と居ると居心地が良くて、遠慮なく甘えられて、むろん、私も彼を甘やかしたいなと思ってしまうし、あの端正な横顔を見ているのは好きだ。しかし、これは恋愛感情なのか、と聞かれると悩む。
「お試しでいいから、付き合おうって言うたけども」
 そして、駄目ならちゃんと元のように友人に戻ることを約束してから、私は唸りながらも了承した。それから火村が前よりも頻繁に我が家を訪れ、執筆中の私の食生活を支えてくれたお陰で、助かる面は多々あったし、手で慰める程度の接触までに留めてくれているので、まだ私たちは一線を超えては居ない。
「言うても……、火村が誰かといちゃつくのを見るのは、嫌やな」
 彼の傍に婆ちゃんがいるのは許容出来るし、嬉しい。が、妙齢の女性が並ぶと心がざわめく。
彼の隣に並ぶのは自分がいいな、と思うし、彼をこちら側に引き止める助手は私がいい。
「キスは上手いし、手も気持ちよかったけども」
 抱き締められるのもキスも愛撫も、更に言えば、勝手にぶっかけられたのを許した時点で、私は相当火村のことを、ちゃんと愛してるのではないだろうか。
「つまりは、あと……俺のプライドだけやな、問題は」
 有栖という名前ではあるが、一応、男として育てられたという自覚はある。名前が女性っぽいので余計にできるだけ格好良くなれたら、と自分なりにやってきた三十四年間。実際に格好良かったことなんてあまり無かった気もするが、それでも一応、プライドはあるのだ。
「火村は俺としたいって言うたから、あいつが俺を抱きたいんやろうしな」
 火村の下で自分が喘ぐのか、と一瞬、遠い目をしかけたが、だからと言って、逆がどうかと考えると。
「いや……勃たんわ、きっと」
 火村を組み敷きたいかと聞かれると、即座に首を振る程度には想像がつかない。前回のように火村にイタズラされて気持ちよくなるのは有りでも、火村が喘ぐのを想像……ううん?
「萎える……」
 無理。いや、美形だから喘いでも美形だろうけど、なんか想像するのは嫌だ。
「それよりは、俺の上で腰振ってる火村のが見たいやんなぁ」
 この前のぶっかけた時みたいに、ぎらついた視線で私を見下ろしていて欲しい。あれはちょっと見てるこっちもぞくぞくした。
「ちゅうても……そのためには、俺が覚悟決めなあかんやんなぁ」
 というか、同性の場合、挿入出来そうな場所がひとつしか思い至らないのだが。ボディソープで洗い立てていた下半身をじっと見つめる。
「こ、ここに……火村のアレ入るんやろうか」
 つつっと泡だらけの指で穴に触れてみるが、実際に中へ入れるのはちょっと怖い。外側だけでも綺麗にしておこうかなとボディソープを滑らせて軽く洗ってみたりして。
「べ、別に今日、関係が進展するってわけでもないんやけど」
 一人で言い訳してみたものの、もしかしたらを考えてしまう。
「いやいや、火村は紳士なヤツやし!」
 本当に紳士ならば、押しまくった挙げ句に惚れた相手の顔にザーメンをぶっかけたりしないはずだが、まだどうにも心の準備が出来ていない私は、紳士という単語を振りかざしてその事実を頭から追い払う。
「けど、でかかったしな……あいつの」
 兜合わせで握らされたのだが、自分のものよりも少し直径がでかかったような気がする。長さまでは比較してないが、アレがすんなりと何の準備もしてない私の穴に入るとは思えない。
「ううん……」
 己の指一本くらいなら、平常時の自分の息子よりも確実に細い。一本だけ試してみようか、と洗い場に四つん這いになり、ごくりと唾を飲み込んで、再び穴に指をそっと当てて、ゆっくりと息を吐き――。
「アリス、――っと……誘ってるのか?」
「ひっ!?」
 いきなりガチャッと浴室のドアが開いたと同時に火村の声が飛び込んできて、人指し指を第一関節まで突っ込んだ私が振り向いたのと同時に、バランスを崩した身体が傾いで、ゴチッと浴室の壁に頭をぶつけた。
「いてて」
 変なとこを見られたと焦りつつ、慌てて穴から指を引き抜き、ボディシャンプーで指先を念入りに洗う。
火村は浴室のドアを開けたままで、何故かばさばさと自分の着ていたジャケットやスラックス、ワイシャツを脱いでいくので、私は手に殺菌作用のあるハンドソープのボトルを洗面台から取って来て、もう一度しっかり手を洗いつつ首を傾げた。
「うん? 君、なんで脱いどるん?」
「シャワーでオナってたのか?」
 ありゃ。私の質問と火村の問いが同じタイミングだった。とりあえず聞き取りにくかったのもあって、軽く首を振る。オナってたという部分だけは聞こえたからだが、お尻の具合を確認しただけであって、オナニーしていたわけではない。
「え、君、……え?」
 さっさと全裸になった火村が浴室に入ってきて扉を閉めたので、私は戸惑って彼を見上げた。
「せっかくだから一緒に入る」
「あ、いや、俺はもう上がるし」
 全身もう洗ったから、と交代しようとしたのだが、がっしりと腕を掴まれて阻止される。おい、ちょっと待て。二人共が全裸な状態で狭い浴室に二人きりになってしまう!
「アリス」
「っ、あ、ああ、あのっ、えぇと、コ、コンロに火ぃ点いたままでっ!」
 そんな火事になりそうなことはしてないのだが、一旦出ないとヤバそうだ、と先回りして言ってみた言葉は、あっさりと火村に否定された。
「キッチンのコンロは全て消えてたぜ? 安心しろ」
「うぐぅ……」
 しっかりキッチンの火元確認済みでしたか。そうですか。これで私がビビってることは確実に火村に伝わってしまった。さぞかし幻滅したのではないだろうか、と上目遣いで見上げれば、火村は楽しそうな顔をして笑っている。
「そうビビるな。ちょっとだけ下心はあるけど、お前が怖がってるのも、ちゃんと分かってるから」
「下心あるんかい……」
 思わずツッコミを入れたが、火村は素直に頷く。
「だって、風呂じゃなきゃ合法的に全裸は見れないだろ。――前にも見たけど、綺麗な肌してる」
「セクハラやんけ」
 というか、今までも温泉とかで風呂には二人で入ってたはずだが、意識が違うと肌色がなまめかしく感じてしまう。
「もう身体は洗ったんだろうけど、せっかくだから、スキンシップとして、洗いっこしようぜ」
 それなら裸の付き合いだから、いいだろ? とボディソープを指された。まあその程度ならば、ビビる必要もないし異論はない。
ならばと洗うための浴用タオルを差し出せば、たっぷりとボディソープが乗せられる。少し水分を足して、泡立ててから眼の前にある火村の胸に浴用タオルを滑らせた。
「俺はもう洗ったから、洗いっこ言うても軽くでええよ?」
「うん。いい匂いがする」
「あほ、匂いを嗅ぐな」
 私の耳の下辺りの首筋に鼻を寄せて、すんすんと嗅ぐ火村から逃げるべく身体を捩ったのだが、火村の両腕が私の身体を絡め取るから妙に密着してしまう。裸で何も隠せないから、妙にドキドキと心臓が煩い。
「洗えへんって」
「アリスの身体を、俺に押し付けて洗ってくれてもいいぜ?」
「なんやそれ、ソープみたいやんか」
 本物のソープには行ったことはないけれども、ソープとかを題材にした映像ならば見たことはある。女性の体にボディソープを塗り、体を密着させて洗うというやつだ。
「そう。ここに塗って」
「わ!?」
 火村が私の胸に浴用タオルで作った白い泡を塗りたくって、更にまだ泡立ててない原液までも上半身のみならず脚にまで塗った。
「塗りすぎとちゃう?」
「いいんだよ。ほら」
 ぐいっと引き寄せられて、私達の胸が、身体が密着する。ドキドキと高鳴る鼓動までもがお互いに共鳴してるみたいで、どっちがどっちの鼓動かも分からない。
「アリス」
「んぅ……っん、……あっ、ん……んむ」
 ちゅう、とついばむみたいな小さな口づけは、角度を変えて何度も唇に触れ、背中を這い回る火村の手によって密着させられる身体が、二人が身じろぎする度にお互いの体に触れて、ぬるついた肌が滑っていく。
「アリス、洗って?」
 戸惑っている私に火村が浴用タオルを持たせたので、密着してる前は放置して、手の届く背中に泡の付いたタオルを当ててこすっていく。あまりちゃんと汚れを落とせている気がしないので、いい加減に密着を止めてもらえないだろうか。
「ひむら、これ密着しとると難しい」
「じゃあ別のとこにしようか。アリス、手を出してくれ」
「え、手で君の奉仕するん?」
「今は違うな。……こうする」
 密着を緩めた火村が私の腕を取って、ボディソープの泡を彼の両手で塗り拡げるようにして私の左腕だけを包み込むように洗う。左腕が済んだら今度は逆側の右。途中でモミモミと二の腕をマッサージまでされてちょっと気持ちいい。
「これを俺にもやって?」
「あ、おん」
 火村の真似をして、私も彼の腕を手で直接洗う。自分で触れてみてよく分かったが、こうして触ると腕の筋肉の付き方などもよく分かる。
「やっぱボクシングやっとる分だけ、筋肉あるな」
「アリスだってちゃんと筋肉はついてたぜ? まあ少しだけぷよぷよしてるけど」
「ぷよぷよは余計じゃ」
 唇を尖らせて抗議したら、ちゅっと小さく口付けられて、急なことにポッと頬が染まった。こういう、なんというか、恋人同士の甘いイチャつきは慣れなくて困ってしまう。
「今度は足な?」
「足も手で洗うん?」
「足を足で洗うのは大変だと思うぜ」



<中略>



三、夕ご飯はタコライス

「よし、そんじゃまず、アリスはレタス担当な。手で千切ってもいいぜ」
「ほーい」
 一口大程度に、と言われたので、手でべりべりとレタスを千切りまくる。その間に、火村は玉ねぎの茶色の皮を剥き、白い玉の上下を切り落としてから半分に切り、少し考えて半分をまた半分に切って、ラップで包んで冷蔵庫に入れた。取り分けた四分の一は後でハンバーグに使うのだ。
 そうして、まな板の上にある半円と四分の一を全てみじん切りにしていく。
「あ、冷蔵庫から挽き肉取ってくれ」
「ほい」
 玉ねぎを切り終わり、油をひいたフライパンに玉ねぎを移した火村が、冷蔵庫を指す。
私はちょうどレタスを千切り終えていたので、そのまま冷蔵庫から挽き肉を取り出す。まだ取り分けていなかったので、パックがでかい。
「先にハンバーグ用を取っとく?」
「ひとつかみ程度のざっくりでいいぜ」
「へーい」
 玉ねぎが少し入ることを考えて、ビニール袋にざっくりと弁当用の小さなハンバーグが作れる程度の肉を取り分け、残りの挽き肉パックをタコライス用として火村に渡した。ハンバーグは夕ご飯を食べたあとで作る予定なので、今は取り分けた肉のビニール袋の口を縛って冷蔵庫に戻して。
「このくらいで足りる?」
「ああ、充分だ」
 火村が玉ねぎのみじん切りと挽き肉をフライパンで炒める。肉に火が通ったところで、ウスターソースと焼肉のたれ、そして塩コショウで味を付けた。
「アリス。卵を二個、水入れてレンジでチンしてくれ。温泉卵のやつ」
「ああ、あのコップ使うやつ」
「そうそう」
 マグカップに卵を一個ずつ割り入れて、水を卵がかぶる程度に少量足し、レンジで四十秒程度温める。その程度で温めるのを止めると、ちょうど温泉卵のようにいい具合に白身が半熟とろとろになるのだ。これを二人分、ふたつのマグカップに作っておく。
 肉を炒め終えた火村は、まな板の上でアボカドの種を手際よく外して、堅い皮から身を取り外して黄緑色の身をサイコロ状に切った。
「そろそろ、ごはんにレタス敷いてくれ」
「はいよ」
 平皿にご飯を盛って、レタスをわさっと敷き、火村がその上に挽き肉を乗せる。その上にチーズを散らして、水気をなるべく取り除いた温泉卵を乗せ、切ったミニトマトとアボカドを散らしたらタコライスは完成だ。



<中略>



五、お弁当作ろう


「うう、もう朝か」
 ピピピと鳴ったアラームを止めて、もぞりと起き上がる。私を抱きしめて寝ていた火村が、同じように寝ぼけた顔で起き上がった。
「ふわぁ……なんとか落ちずに寝れたな」
「せやな」
 ごしごしと目をこすり、ええと弁当を作らねば、とベッドから降りてまずは洗面所で顔を洗う。
私を追って同じく顔を洗う火村を置き去りに、私はキッチンへとやってきた。
「ご飯と、ハンバーグとほうれん草、ミニトマト、ウインナー、あと卵かな」
 冷蔵庫からタッパー類を出して、まずはご飯をレンジで温めでおく。その次がハンバーグだ。
「えっとウインナー」
 焼くのがいいのか茹でるのがいいのか、と迷っていたら、当の本人がキッチンに顔を見せたので素直に聞いてみる。
「ウインナー、焼くのと茹でるの、どっちがええ?」
「どっちでもいいけど……そうだな。焼こうか」
 手伝うよ、と言いながら火村が寄って来てくれたので、レンジでの温め直し役を頼んだ。まだご飯しか温めが出来てない。ご飯をレンジから出して代わりにハンバーグを突っ込み、レンジが回転を始める。三十秒程度で、ほうれん草の温めに切り替えた火村が、弁当箱に詰めるべく手を動かし始めたので、それよりもと声を掛ける。
「悪いけど、卵焼き作ってくれへん? 詰めるのは俺がする」
「分かった」
 私が卵焼きを作ると、形が崩れて最終的にスクランブルエッグになりかねない。朝のように時間がないときには、ちゃんと作れるやつに任せるべきだろう。ちょうどウインナーも焼き終わったので、ウインナーを皿に出して冷ましておきつつ、火村と場所を交代した。コンロ下から四角い卵焼き用のフライパンを出して、コンロに置くのも忘れない。コンロに火をつけた火村は、まずサラダ油をフライパンに敷いて、全体に油を回す。
「卵それな」
「おう」
 昨日の使いかけの卵液の他に卵を一個、コンコンカシャッと器用に片手で割って、卵液の上に生卵を落とした火村は、殻をゴミ袋に入れ、砂糖を少しと牛乳を少し追加してから、菜箸でがしゃがしゃとかき混ぜる。それをフライパンの上に少し傾ければ、じゅわーっといい音が響く。すぐにフライパンを傾ければ黄色が全面に薄く広がった。
「ええ音」
「残ったら朝食用な」
 箸でちょいちょいと焼けた端っこを剥がし、くるくると器用に卵を巻きながら火村が微笑む。じゅわーっとまた卵液が流し込まれては卵の層が厚くなる繰り返しだ。
「やった」
 くふりと笑って、改めて弁当箱に視線を落とす。ええと確か、下の段にご飯のほうがいいんだったな。ラップに包んで冷蔵していたご飯を箸で弁当箱に詰めていく。
「ふりかけ、ふりかけっと」
 食器棚の引き出しを開けて、ふりかけの袋を探す。鮭と、のりたまと、わさびだ。これは今掛けてしまうと水分を吸ってしまうだろうから、食べる時に掛けてもらったほうがいいかな。
「ふりかけ、何味がいい?」
「のりたまかな」
 即答だった。可愛いやつめ。分かった、と答えておいて、最後の一つだったのりたまの小袋を取り分けておく。



<中略>


■■注意■■途中、避妊具被せた人参を挿入するシーンがあるのでご注意下さい。

「な、なんとか……キレイになったはず」
 火村との通話が切れた後、ネットで色々と調べ、結構時間を掛けて風呂とトイレを往復して洗浄は完了した。これは何度かやってれば慣れる気がするので、旅行までにウォシュレットとお友達にならなければ。
「こっからが難問なんやけども」
 中はきれいにした。あとは少し解しておけば火村が楽かなと思ったりもするのだが、指を突っ込んだところで指程度の長さでは奥まで届かない。とはいえ、独身男の部屋だ。挿入させるようなものなんてなかなか無い。
「オナホはあるんやけども」
 何かに突っ込むことはあっても、何かを挿入したのは前回の指しかない。ディルドとかピンクローターとかそんなものも持ってないのだ。
「ううん……先が適度に丸くて細めで多少太くて堅いもん……」
 そうそう都合の良いものなんて無い。通販で取り寄せてもいいが、今日すぐにハイと届くはずもない。もう夕暮れで夕飯にならんとする時間帯だから、買い物がてらその手のものを買ってもいいが、このへんにはアダルトショップは無い。
「そういえば」
 今はあんまり無いと思うけれど、昔は人参とかゴーヤとかバナナを女性の秘部に入れてたAVとかあったような。
すたすたとキッチンに出向き、人参を確認すればなかなか程よい太さの人参を見つけた。
「食べ物を粗末にしたらアカンけど……ちょっとだけ」
 避妊具を上から被せて使えば衛生面も問題ないだろう。人参を手にして寝室に戻り、避妊具をいそいそと開けて被せてみる。先端が丸っこくて細いのでどうだろうかと思ったが、するすると伸ばせば避妊具は人参の根本まで届いた。こんな奥までは入れるつもりはないので、これで十分だろう。
 ごそごそと部屋着のボトムスと下着を脱ぎ、ローションよりもジェルのほうがベッドを汚さないかな、とオナホ用に買っていたジェルを取り出し、にゅるんと避妊具つき人参の先端に塗りつけて。いざ。
「っ、ふ」
 ぐっと穴に押し付ければ、流石に先端が細いのでちゅぷっと中へと入っていく。大丈夫、まだ行けるとゆっくり息を吐いてぐぐっと人参を奥へと押し込む。
「ふぁ……っ」
 まだ人参はかなりの部分が表に出ているので半分も入ってないだろう。けれど、穴が堅いものに広げられているものだから、ひくひくと穴が動いて勝手に息が乱れる。
「んん……っ」
 せめてもう少し。火村のおちんちんが入るくらいに広がってほしい。はふはふと短く荒い息をせわしなく吐きながら、びくつく身体を叱咤して人参の頭を押し込んで。



<中略>


■そして、ちゃんと初夜もありますー!


 ぐちゅぐちゅと濡れた音を立てて穴を解されて、腰をくねらせる私を、火村が彼自身の体重で押さえつける。暴れた踵が、火村の太ももにぺちっとぶつかった。
「お転婆め。俺が無体を働いてるみたいになるだろ」
「はーっ、はーっ、……アホ。俺かて、ちゃんと受け入れるつもりやねんから」
 ついうっかり気持ちよさの逃し場所がなくて足が変なところに当たっただけだ。それに関しては悪かったと目線で謝れば、冗談だったようでほろりと笑われる。
「じゃぁ、足を自分で持っててくれ」
「えぇと?」
「こうやって、M字開脚して、手はここに」
 火村は私の手を誘導して、自ら開脚させて固定を促した。この体勢は大事なところが全部丸見えだ。
「は、恥ずかしいんやけど」
「俺は興奮する」
「うう、この変態ーっ!」
 俺ばかり変な格好させやがって、と文句を言えば、ちょっと考えた火村がこちらににじり寄る。
「変態ついでに、俺のをちょっと舐めてくれないか? その間、手は下ろしてていいから」
「分かった」
 そういえば忘れていたが、私ばかり気持ちよくなっていて火村に奉仕してなかった。
手で軽く擦り上げたペニスを私の口元に持ってきたので、右手を自分の足から離して竿を支え、大きく口を開けて、ぱくりと口に含む。
「ん、んん、んむ……じゅるっ」
 れろれろと舌を裏筋に這わせ、唇で竿をしごくと、半勃ちだった竿がすぐにむくむくと勢いを増して固くなっていく。
「うっ」
 弱いだろうカリ首を攻めようとしたら、つい軽く歯を立ててしまって慌てて口を離した。
「もうちょっと頼む」
 大丈夫だからという風に頬を撫でられたので、ほっと息を吐く。
「ん。ごめん」
 今度は歯を立てないようにして、ちゅぷちゅぷと唇でしごき、吸い上げてから、喉の少し置くまで飲み込むと、くしゃりと私の髪の毛をかき混ぜられた。
「アリス、そろそろ離してくれ。本番にしたい」
「ぷは……、えっとほんなら、足、持っとく」
 ずるるとペニスを口から引き出せば、元気なそれは口から出した途端に、ぶるんと大きく反り返る。もうガチガチで口に含むのもギリギリくらいだったが、これが私の中に入るのか。


サンプルここまで。


この先は本編にてお楽しみ下さい。
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